2022年01月02日

元旦の夜明けはミュシャの世界

明けちゃった新年。
高速のPAのフードコートで年越し蕎麦を食べながら歌合戦を観てた。
目当ては藤井風さん♪

自宅からあっさりと歌いだして、あっさり歌い終えて、風さんすごいマイペース、って可笑しくなってたら。
なるほどー、やったねー♪
って演出、やっぱり観てよかったよー。

それから売店でアイス食べて(いつも食べるやつより高いの)、ホットコーヒー買って、車に戻って。

風は冷たく強く、夜空をこれ以上ないってぐらいにキリッと澄みわたらせて。
明け方まで月もなく。
これは「満天の星」が見れる絶好の条件揃ってるよねー。

って夜更けに山ごもりするつもりが、ちょっと眠気に負けて、安全なPAにいる間に仮眠。。。

の予定だったのに。
車で寝るのが好きすぎて、たまりきってた疲れのせいもあって、起きたのは「新年」。

ラジオのカウントダウンを楽しみにしてたのにー。
寝てる間に2021年が終わってた。

タイヘンタイヘン夜が明けちゃう、と少し焦って車を出す。
初日の出は目的じゃなくて。
夜更けの満天の星と、夜から朝になっていく山道を走りたかっただけ。

冷え込みはMAXでマイナス4℃。
わたしんち付近よりぜんぜん寒くない。
トンネルの中の濡れてるとこや、山道を沢が横断してる部分はアイスバーンになってたけど、あとは路面が乾いてるからラクラク走行。

でも満天の星が見える夜更けのうちにまっくらけな山の中に入り込むには間に合わなくて。
仕方なく山越えルートに方向転換したら。

チラチラと山の間に見えた大きな大きな細い月。
ナビを確認したら東側の空。

初日の出より約1時間50分前に昇ってきた2022年初のムーンライズ。

肉眼でもゆっくりと昇っていくのがわかる大きく細い月は、クレセントの部分が金色にキラキラ輝いてて。
でも影の部分も、ぼんやりと薄暗い赤銅色でまん丸に見えて。

大きな大きな、まん丸い三日月。
左側には火星。
右側にはアンタレス。

2つの星と一緒に夜空を静かに浮上していく。

暫くすると、月と2つの星が昇っていく下の闇が薄れてきて。
フェードインする夜空に、辺りの山のシルエットがじわじわと浮かんでくる。

だけど東の空はまだモノトーン。
色がついてるのは月の金色と2つの星の赤だけ。

このモノトーンの時間のムーンライズがあまりに幻想的で、まるでミュシャの絵画。
手をかざした女神が降臨してきたみたいな。

予想もしなかった月の出を、東の空を山から見下ろす最高の場所で見てしまった新年初ドライブ。

神さまからすごいお年玉をもらっちゃった。

見とれてるうちに、東の空の底が紅く色づいてきて、夜は朝に押しやられていく。

見下ろせる道には、スピードを上げた車の列。
こんな夜明けにみんな急いでどこ行くのー、って思ったけど。
ああ、そうか。
あの道の先の海に、みんな、初日の出見に行くんだねー。

もう少しで初日の出ショーが始まる。
あの急ぐ車のどれぐらいが、いま見えてるミュシャの暁に感動してるんだろう。

カウントダウンのように、ラジオでは初日の出の話題が盛り上がりだす。
その後も一日、「今朝の初日の出」の話題がラジオで繰り返される。

でも、わたしが聴いてる間中はラジオで一度も誰も、あのミュシャの絵画のような美しい月の出について語ることはなかった。

わたし、なんかとても得したきぶん。
じぶんだけが宝物を見つけたかんじ。

わたしは初日の出にはあまりキョーミがなかった。

晩秋にもう、特別な日の出、を見たから。

叔母さんが飼ってた犬が老衰で死んじゃって、火葬に立ち会った。

身内と他人とじゃれ方がちがうんだけど、すごーい昔に別々に暮らすわたしや弟やわたしのお母さんと初めて会ったとき、最初から「身内」扱いしてきた。
おなじ血の匂いとかあるのかなー、って、みんなで不思議がった。

わたしにも、かなしいお別れ。
火葬のあとで夜中まで叔母さんちにいて(叔母さんがさみしいと思ったから)、それからわたしもなんだか帰る気になれなくて。

そのままアクアラインを走って、海ほたるに車停めて、ファミマでコーヒー買って、ラジオ聴きながら寝落ちして。
起きたらまだ暗かったけど、そろそろ夜明けだと時計を見たら、走りださずに海ほたるから日の出を待った。

東京湾の真ん中で、寒いから車の中から窓越しで、ずーっと東の空を見てた。
段々と明るくなってきて、日の出の時間を調べて、じぶんひとりでカウントダウン。
時間通りに、明るくなってきた東の地平線の一点がギラギラ強烈に輝きだす。
その輝きの点が次第に大きく膨らんでいって、幻想的な色合いの空は昼間のような青空に変わって、太陽登場。

もう眩しくて直視は出来ないから、見るのはおしまい。

あの太陽が出てくる一瞬に、なんだか泣きそうになって。
かなしいことがあっても、朝は来る。
ほんとに、朝は普通に来る。
太陽は「かなしい日の次の日」を連れてくる。

誰が死んでも、その後の朝に特別なことなんてなくて、死ぬ前とおなじように太陽は昇ってくる。

人が勝手に「特別な朝」に仕立てる朝は、地球に必ず毎日訪れる朝。

おなじ朝陽を、いろんな人たちがいろんな想いで見るんだろうけど。
じぶんが死んだって、他の人たちにはいつもの朝がちゃんと訪れる。
だから、いつだって安心して死んでいける。

生きてるとまたいつか、かなしい夜のあとの日の出を見る時が来る。
何かを喪失したあとの新しい日々をはじめる日の出が、わたしには一番の特別な日の出。



はてなのブックマークがいくつかついていて、コメント下さった方たち、ありがとうございます。
わたしが気づけたものだけですが、読ませてもらって、うれしかったです。

ブログのコメント欄は管理がしきれないので閉鎖したままですが、はてブに書いてもらったこと、ブログでお返事書けたらいいなと考えてます。
(ブログの更新すら不定期すぎるので、何時にという確約が出来なくてごめんなさい。。。)









posted by ぴの at 16:25| オーランド ☀| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。